
出典:なかにしゆうた『ものがたりのように』
作品情報
| タイトル | ものがたりのように |
| 著者 | なかにしゆうた |
| 出版社 | なかにしゆうた(同人サークル) |
| 配信開始 | 2024年 |
| ページ数 | 288ページ |
レビュー
なかにしゆうた『ものがたりのように』をご紹介する。
なかにしゆうた先生は兄妹あるいは姉弟の近親相姦モノをよく描いている作家さんだ。
なかにしゆうた先生はさわの(管理人)が最も好きな同人作家さんの一人で、作品はほとんど読ませてもらっている。
当サイトでは、以前に感動の傑作『昔はカッコよかった』をご紹介している。
上記の記事では、なかにしゆうた作品の特徴として、Hシーンのまるで愛し合う二人のIQが3くらいになってしまったかのように、無言で激しくお互いを求めあう描写があると述べた。
今作ではそのような描写はやや抑えめになっているようだ。
本作は、誰をも引き付ける才能と美貌を持ちながら、若くして死んでしまった姉とそっくり同じ姿の幽霊のようなものが主人公(弟)の前に現れ、主人公は不思議に思いながらも一緒に暮らすことに…という物語になっている。
本作は288ページもある超大作であるが、そのほとんどのページは姉のような何者かとの共同生活の描写に充てられている。
セリフもほとんどない。


ものがたりの終盤では、この主人公の前に現れた謎の女は誰なのか?、彼女はなんの目的で主人公の目の前に現れたのか?、その謎の解明がなされる。
この終盤あたりの描写はなかにしゆうた先生の新境地というか、普通の漫画では見られないようなハッとするような演出がありすごくよかった。
ネタバレに気を付けるが、敢えて言うならビジュアルノベルや美少女ゲームのような演出といえるだろう。
この物語の核心は、この世を去らなければならない人間が大切な人たちに何を残すことができるのか、そして、置いて行かれた人たちはこの世を去った人間から何を受け取り、それを受けてどのように生きていくことを選ぶのか、ということだろう。
主人公と???はこの世を去った姉が残した思い(ただし、それはいたずらのようなものである)を受け取り、愛し合い身を寄せ合って生きていくことを選んだ。
そんなハッピーエンドだった。
一本のビジュアルノベルを完走した後のような、非常に爽やかな読後感の作品であった。
既にこの世にいない大切な誰か、という空白の存在を巡る物語で、非常に文学的なテーマを扱っていることも素晴らしいと思った。
また、ラストのオチになるが、死んだ姉が残したメッセージのいたずらの部分が感動ポルノにしすぎないようなハズシになっていて、かつ姉の掴みどころのないキャラクターの描写にもなっていて、いいなあと思った。
本作は作者のこの作品にかける並々ならぬ熱意、テーマの文学性、斬新な演出を評価して、21世紀エロ漫画保管庫行きである。
作品評価マトリクス

